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甲府地方裁判所 平成8年(わ)167号 判決

裁判所書記官

福井誠

本店の所在地

甲府市南口町一番四五号

被告法人の名称

有限会社 東洋企画

右代表者の住居

山梨県東八代郡石和町河内二一番地の七

右代表者代表取締役

大木政志

本籍

山梨県東八代郡石和町河内二一番地七

住居

山梨県東八代郡石和町河内二一番地の七

職業

会社役員

被告人の氏名

大木政志

被告人の生年月日

昭和三二年六月一七日生

右の両名に対する各法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官遠藤秀一、弁護人古屋俊仁各出席の上審理して、次のとおり判決する。

主文

被告人有限会社東洋企画を罰金一五〇〇万円に、被告人大木政志を懲役一年に処する。

被告人大木政志に対し、この裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。

訴訟費用は被告人両名の連帯負担とする。

理由

(罪となるべき事実)

被告会社有限会社東洋企画は、甲府市南口町一番四五号(ただし、平成七年六月一一日以前の本店所在地は、甲府市上河原町五五〇番地)に本店を置き、いわゆるテレフォンクラブ等の経営を目的として平成五年六月一七日に設立された資本金五〇〇万円の有限会社であり、被告人大木政志は、被告会社有限会社東洋企画の代表取締役として、その業務全般を統括していた者であるが、被告人大木政志は、被告会社有限会社東洋企画の業務に関し、法人税を免れようと企て、売上の一部を除外するなどの方法により所得の金額を秘匿した上

第一  平成五年六月一七日から平成六年五月三一日までの事業年度における被告会社有限会社東洋企画の実際の所得金額が五七六五万四七七一円であったのに、平成六年八月一日、同市丸の内一丁目一一番六号所在の所轄税務署である甲府税務署において、同税務署長に対し、欠損金額が一一一一万七二三五円で、納付すべき法人税額はない旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、被告会社有限会社東洋企画の右事業年度における正規の法人税額二〇八六万〇一〇〇円を免れた

第二  平成六年六月一日から平成七年五月三一日までの事業年度における被告会社有限会社東洋企画の実際の所得金額が一億二六一八万二八八八円であったのに、平成七年七月三一日、前記甲府税務署において、同税務署長に対し、所得額がなく、納付すべき法人税額はない旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、被告会社有限会社東洋企画の右事業年度における正規の法人税額四六五五万五一〇〇円を免れたものである。

(証拠の標目)

判示事実全部について

一  被告人の当公判廷における供述

一  被告人の検察官に対する供述調書三通

一  久保力の検察官に対する供述調書

一  新井和博こと朴和博、大木勇美子、中込國彦及び深沢昌利の大蔵事務官に対する各供述調書

一  検察事務官作成の資料入手報告書

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書説明資料(損益)、売上高調査書、期首商品棚卸高調査書、仕入高調査書、給与手当調査書、広告宣伝費調査書、支払手数料調査書、接待交際費調査書、通信費調査書、消耗品費調査書、減価償却費調査書、地代・家賃調査書、水道光熱費調査書、賃料調査書、燃料費調査書、雑費調査書、受取利息調査書、雑収入調査書、雑損失調査書、損金の額に算入した道府県民税利子割調査書

判示第一の事実について

一  大蔵事務官作成の法人税額計算書(甲一)、脱税額計算書(甲三)、役員報酬調査書、支払利息・割引料調査書、申告欠損金調査書

一  押収してある平成五年六月一七日、平成六年五月三一日事業年度の確定申告書(二五枚綴り)

判示第二の事実について

一  大蔵事務官作成の法人税額計算書(甲二)、脱税額計算書(甲四)、期末商品棚卸高調査書、保険料調査書、交際費等の損金不算入額調査書、事業税認定損調査書、繰越欠損金当期控除額調査書

一  押収してある平成六年六月一日・平成七年五月三一日事業年度の確定申告書(二八枚綴り)

(法令の適用)

被告会社有限会社東洋企画の判示各所為は、各事業年度ごとに法人税法一六四条一項、一五九条一項に、被告人大木政志の判示各所為は、各事業年度ごとに法人税法一五九条一項にそれぞれ該当するところ、右被告会社については、情状により同法一五九条二項を適用し、被告人大木については、所定刑中、懲役刑を選択することとし、以上は、刑法四五条前段の併合罪であるから、被告会社については、同法四八条二項により合算した金額の範囲内において罰金一五〇〇万円に、被告人大木については、同法四七条本文、一〇条により犯情の重い判示第二の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で懲役一年に、それぞれ処し、被告人大木に対し情状により刑法二五条一項を適用して、この裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予し、訴訟費用は、刑事訴訟法一八一条一項本文、一八二条により全部これを被告人らに連帯負担させることとする。

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 秋武憲一)

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